峙つ - 喜望峰
2022
OSB板、鉄筋、映像
h.300 × w.8000 × d.16000 cm
作品を作る上で動機となったのが、2018年に自分自身が南アフリカに訪れた際、喜望峰に立った時の経験から本制作が始まる。喜望峰の歴史を辿っていくと、この岬は世界の常識が変わった大きなターニングポイントとなった。大航海時代、ポルトガルによって発見され、それまでとは違う形で世界が形成され、一つになっていく。
ポルトガルが1488年喜望峰を発見した55年後、ポルトガル人をのせた船は中国上海を目指していた。しかし、そこに流れる東シナ海流と黒潮海流と大きな嵐によって流され、偶然辿り着いたのが種子島の門倉岬である。この出来事により、種子島も後の日本に大きな変化をもたらした契機となった。これにより、日本は初めて西洋文化という扉が開かれる。
この作品は歴史が連続して展開されていく中で、喜望峰を軸として置いた。そして、その軸を自分自身が繋がるためには日本の場合、種子島という「場」になってくる。
約500年前の時間的な流れではあるが、今回は自分の中でいかに連続させていくか、時間を超え、意識の中でどう空間を繋げ、共有するかを考えてみた。この作品は物理的な関係性というよりも、精神的な関係性をこの武蔵野美術大学で成立させた。
ここではメタファーとしての軸線というものに挑戦した。
一方には、喜望峰を想像しながら対峙できる場を創造するために、逆水平線となるメタファーを用いた。実際の水平線と逆水平線が交差する延長線上の先に喜望峰があるという表現にした。
もう一方は実際に種子島に行ったときに、そこから見える喜望峰の方角の海を映像として空間の中に投影した。それは自分自身が体験したその海を皆に感じ取ってもらうためである。
また、両方の作品は背中合わせに配置した。それは軸線の延長線上にある地球の裏側に喜望峰が位置するためである。
さらに、作品の中央部からは、今回のきっかけとなったポルトガルの方向軸も指し、そこに階段状のオブジェを設置した。階段という造形を行ったのは、その場から一点の方向を示すためであり、何もないところに軸性という意味を与える。自分自身の体験した世界観を意識的に共有してもらうために今回の空間作りを実施した。











